ブランチ ロード -The Time Aftre -

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第8章 過ぎ行く時

「竜太、チケットありがとな!」
自分の席に座りながら、誠志は机を挟んで前の席に座っている竜太に声を掛ける。
土曜日に明美と遊んだ遊園地チケットは竜太からの貰い物だからだ。
もっとも、竜太自身『エアメール』という喫茶店のマスターから貰い物なんだが。
「おかげで楽しめたぜ。」
誠志の言葉に竜太が振りかえり座り直す、二人は机を挟んで座っている形になった。
「そいつは良かったな。」
竜太はニヤリと笑みを浮かべながら、マスターに感謝しろよ!と付け加えた。
もちろん、と今度は誠志がニヤリと笑みを浮かべ応える。
おかげで比較的に仲の良い明美と楽しい休日を過ごせたとも思える。
(ん!‥‥待てよ。)
コイツは誰といったんだろう?と、頭の片隅から誠志は疑問が沸いくる。
竜太の性格上、男と行くわけがなく、まさか相手がいなくて1人寂しく。
その考えは、すぐに否定できた。
1人なら入口で待合わせの場所に慌てて行く必要がないからだ。
アノ慌てかたは本物だったし、と正直思う。
「竜太、お前は誰と行ったんだ?」
聞いた方が早いと思い、誠志は竜太に聞いた。
「お、俺?べ、別にいいだろ?」
急に振られた言葉に竜太は一瞬、自身の顔を指差し応える。
「あ〜、近所の小学生だろ!」
誠志は少し身を引いた態勢をとり正面の竜太を指差す。
唐突な発言に呆気にとられている竜太に、お前‥ロリ?と付け加えた。
「あのな〜、俺は犯罪者か?」
即座に竜太がツッコミを入れる。
「うん、違うのか?」
誠志はワザと驚いた顔を作った。
「お前なぁ‥‥。」
誠志の反応に竜太は軽く肩を落とす。
ガラ!
「おい、先生が来たぜ。」
誰とも無く言った言葉に教室にいた生徒が自ら席に着いた。
後で知ったことだが、竜太は近所で兄ちゃんと慕ってくる女子中学生と行らしく、
美鈴が、竜太君が可愛らしい女の子と歩いてたのを目撃した、と教えてくれた。
さらに少し経ってから、相手の娘は奈美が同じ中学校の後輩だよ。とも情報が入ってきたからだ。


ある一定の間隔で静寂と歓声に似た声と物音がが聞こえてくる。
これらは少し甲高い音によって支配されている様にも思えた。
キ〜ンコ〜ン、カ〜ンコ〜ン‥!そして、最後の刻を告げる。
すると周囲の建物より比較的に大きなコンクリート建物から今日一番大きな歓声が聞こえてきた。
「ねえ、今からあそこ行かない?」
「いつものクレープ屋さん?」
「うん、いいよ!」
どこの教室とも知れないが、放課後の話題が聞こえてくる。
3年生の教室で軽く伸びをし、アクビをしながら帰る仕度をしている男がいる。
男の名前は誠志だ。
(俺も帰ろ。あ、今日はバイトの日だ!)
帰る支度といっても弁当が入っているカバンを手に取るだけなのでスグに終る。
「はい、誠志君‥コレ出来たよ。」
席を立とうした誠志に明美が近寄ってきて数枚の写真を渡す。
「あ、コレ?この間の遊園地のだね。」
上手く撮れてるね?と、渡された写真を見ながら誠志は付け加えた。
写真の出来に明美も満足しているらしく首を縦に振る。
「本当は昨日出来ていたから届けようと思ったんだけど‥。」
明美は少し顔を赤らめて話した。
本当はその方が良かったかも?と誠志は思う。
実は、さっきから後ろから視線を感じていたからだ。
「じゃあ、私行くね!」
明美はそう言残すと教室より出て行った。
「ほう〜、なるほどねぇ〜!」
スケベな中年オヤジみたいな表情で竜太が近づいてきた。
「う、これは‥」
言葉を詰まらせる誠志を竜太は軽く手の平で征する。
「浮気はいけないよ、ダンナ?」
多分、美鈴のことうだろうと、誠志の頭の中を過った。
「ま、個人の自由だから別に良いけど‥それより!」
何だ?予想した展開と違った竜太の反応に誠志は戸惑いを感じた。
「ちょっと付き合えよ。」


「おい、ドコに連れていくんだ?」
鼻歌交じりで上機嫌に歩く竜太に誠志は声を掛ける。
突如、不意に竜太の足が止まる。


「ここだ!」
案内された場所は旧体育館の裏に隣接している配電盤が入っている小屋の前。
辺りには、まったく人の気配が感じられない場所である。
(たっく、誰かヤルのかよ。)
他からは見えにくく、気に入らないヤツをつれ込んでシメるには調度いい環境だ。
場所が場所だけにそんな考えが浮かんでくる。
「お前、ヤバイこと考えてない?目がマジだそ。」
竜太が誠志の反応に気付き声をかける。
「え、ちがうのか?」
驚いた表情で誠志は竜太に尋ねる。
竜太は首を左右に振ると真剣な表情で話し始める。
「いいか、ここからは声も物音一つもたてるなよ!」
少しキツめな口調で竜太は言うと小屋の中に入って行くので誠志も続く。
小屋の中は電気がついてなかった。
だが、配電盤の動作ランプのおかげで歩くには不自由しない。
「おい、コレ見ろよ。」
突き当りの壁のところで竜太は手招きをしながら小声でささやいた。
(こ、これは!)
誠志は竜太が指差した隙間を覗くと飛び込んできた風景に驚く。
部活の準備で着替えをしている女子生徒の姿があった。
二人は女の子達が着替えをしている数分間、目の前の状況を見守った。
「う〜ん、いい卒業記念になっただろ?」
見終わり正門まで歩いてきたところで竜太が口を開く。
「おう、でもバレれば退学記念になるな。」
その言葉に歩きながら誠志が続く。
確かに。とばかりにと竜太は苦笑する。
二人はしばし足を止めて話をした。
「お前、バイトだろ?俺、今から本屋に行くからじゃあな!」
竜太は誠志に言うと1人で本屋の方角を目指して歩き出した。
(そっか、今日はゲーム雑誌の発売日なんだ。)
竜太の行動に誠志は納得し、ホントにゲーム好きだな、とも思えた。
「あ、あの‥‥センパイ。」
誠志は後ろか聞き覚えのある声に振りかえる。
「あれ、奈美ちゃん‥‥?」

 第8章 過ぎ行く時  完




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